従来の分析で外部データを活用するのと異なり、AI、機械学習の場合は、
外部データが形を変え学習結果として永続する事でその持つ価値が大きく異なります。
当協議会はアノテーション含めAIを取り巻く様々な課題に取り組んでいきます。
知的財産・契約検討WG
AI(深層学習)・ML(機械学習)におけるデータ活用は売上分析のような従来のデータ活用と異なり、使用したデータが学習結果として永続化される点において大きな違いがあります。データが形を変え永続化される事は、従来のデータ活用とは大きく異なる価値をデータにもたらす事に他なりません。
AI・MLにおけるデータの商取引は、テクノロジー特許と多くの類似点があります。テクノロジー特許が商流、最終製品の数・単価などにより契約、価格が変わるのに対して、データのAI・ML活用では特許が持つ特性に加えてデータの希少性、ドメイン、鮮度など、より多くの要素、開発・ユーザーシナリオにより契約・価格が異なります。加えて、データそのものの知的財産だけでなく、個人情報、プライバシーなど様々な法令、ガイドラインとの整合性も考慮した検討が必要となります。
知的財産・契約検討WGでは、商流、最終製品の形態などを考慮した契約手順、契約テンプレート、そしてデータ流通基盤で使用するスマートコントラクトを実現を目指します。
商流や対象によって、契約と価格が異なる
AIで使用するデータの契約は難しい
テクノロジー特許の場合、様々な条件によりライセンス料が異なります。AIは、テクノロジー特許同様に、流通、対象システムなどにより、その価値が大きく異なります。また、学習に使用したデータの権利関係についても十分な配慮が必要です。
- 使用契約
- ライセンシー
- 許諾内容・数量
- 売買経路
スマートコントラクト
従来の静的な契約手続きでは、動的な変更を含む様々な条件に対応することが出来ません。動的な要素、複雑な商流、変化するデータの価値に対応したスマートコントラクトの検討を行います。
AIDCは、AIの研究と利活用において不可欠な各種データを収集し、それらを円滑かつ効率的に流通促進するためのプラットフォームとコミュニティを構築することで、日本におけるAIの研究と利活用をより一層加速させることを目標とし活動を行っています。
AIDCの知的財産・契約検討ワーキンググループ(主査:渡部俊也教授。以下「本WG」といいます。)は、AIDCのデータ基盤を介したデータの流通において、データ提供者とデータ利用者の間に適用される契約の定型化と、当該契約の作成にかかるコストの低減化を目指し、当該契約の内容について、官民学一体となって、様々なメンバーで、2019年9月から2021年11月までの期間、全24回の部会を開催し、検討を重ねてまいりました。
当該契約の内容を検討するにあたり、想定した事項は、以下のとおりです。
- 契約作成の目的
- オリジナルデータ、クレンジングデータ、アノテーションデータの流通促進。
- 契約の対象となるデータ(スコープ)
- 取引対象となるデータ:オリジナルデータ、クレンジングデータ又はアノテーションデータで
- 上記データには、個人情報は含まれません。
- 上記データは、不正競争防止法上の限定提供データに該当するデータであることを主に想定しています。
- データベースの著作物等、上記データには、著作物となるデータも考えられます。
- 契約の当事者となる者
- 本契約は、①データ生成者がデータアノテーター又はAI研究者・AI開発者にデータをライセンスする場合、②データアノテーターがAI研究者・AI開発者にデータをライセンスする場合を想定しています。
上記想定のもと、本WGにおいて、データ提供者であるライセンサーが、AIDCのプラットフォームにおいてデータの流通を行う際に、データ利用者となるライセンシーと締結する契約(以下「本契約」といいます。)とその内容を解説する報告書を作成しましたので、ここに公表いたします。
【AIDC プラットフォームにおけるデータ提供契約に関する報告書】
和文
英文
この「AIDCプラットフォームにおけるデータ提供契約に関する報告書」(以下「本報告書といいます。)は、本契約の紹介とその内容の解説を目的とするものですが、本契約および本報告書の作成に当たっては、経済産業省作成の令和元年12月付け「AI・データの利用に関する契約ガイドライン1.1版 データ編」(以下「経産省ガイドライン」という。)のデータ提供型契約のモデル契約書案を参考にしております。
本契約が多くのライセンサーとライセンシーに利用され、利用者される皆様の一助になれば幸いです。
以上
2022年3月吉日